ASAKUSA
子どもの頃から祭と聞けばジッとしていられない方で、今でも調子よいお囃子の音色や、カンと乾いた拍子木の音を耳にすると色めきだってしまう。
週末、三社祭で賑わう浅草に行った。
六区通り界隈の、見るからに昭和チックな店で天ぷらをつまみながら昼からビールを飲み、すっかり日常から逸脱した午後。
なんだろう、この懐かしさは。
そこかしこ観光地化されているのに違いないが、人情味は滲んでいる。
ビールを飲みながら大将とカウンター越しに話をしても、通りで名物の七味を調合してもらっても。。。
これは単に、下町風情を感じたい…という願いからなのかしらん。
そんなことを考えながら、観光客とお神輿でごった返す浅草寺、仲見世通りを後にした。
地下鉄に乗れば、同じ人混みだというのに、ノスタルジックな気持ちはあっけなく雲散霧消。
とすると、そこに生活する人と言葉を交わして感じられるものこそが、町の人情ということか。
浅草の人情は、サッパリとした木綿と麻の混ざったような、初夏の匂いがした。