紅花
珍しく、切り花ではなく植えてある紅花を見かけました。中心部分が微かに紅を思わせる色を滲ませてはいるものの、咲き始めの紅花は黄色の強い橙色でした。この色がなぜ紅なのか不思議だったのですが、調べてみると、黄色から徐々に赤みを帯びていくようですね。
紅花で染めた色は、
聴色(ゆるしいろ)
など、色の濃さによって呼び名が様々あり、唐紅はもっとも濃く深紅(真紅)と同じ色。
平安時代のイケメン歌人「在原業平」の歌に
千早(ちはや)ぶる
神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは)
からくれなゐに 水くくるとは
というのがありますが(百人一首のひとつ)、この『からくれなゐ』がそうなのですねー。
龍田川が紅葉で真っ赤に染まる様子を詠んでいるのですが、“からくれなゐ”というだけで鮮やかさと深みを帯びるようで、素敵と思えてしまいます。(笑
さて紅花、その昔はとても高価なものだったそうで、身分の高い人以外は紅花で濃く染めた着物は許されなかったそうです。一般の人は、染料の紅花大一斤(約600グラム)で絹一疋(絹布ニ反)を染めた薄い紅までは許されていて(聴色)それより濃いものは身につけてはいけない色「禁色(きんじき)」とされていたとか。色濃く染める唐紅は、もう、絶対的に貴重で特別な赤だったのですね。
紅花に古(いにしえ)人の紅(くれなゐ)の数多(あまた)の恋に想いよせる
なんてね〜!
ところで、在原業平って、ほんとにカッコよかったのかしら。。。ね!?
(G)