胡桃爆弾
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プレリュード
10月かぁ…。
「かぁ」の部分に沈みこまぬよう、少し目線を上げて信号待ちをしていると、前方50センチ、上方2メートルあたりで不意に、垂直落下する物体を捉えた。
間もなくそれは、カコンと乾いた音をたてて道路で跳ね返り、コロコロと私の足元まで転がる。木の実らしい。
空も含めてぐるり周りを見回しても高い建物や木はなく、どんなふうにそこに落ちて来たものやら確認はできないが、手に取るとモノは胡桃に違いない。間抜けな鳥の落とし物、というのが無難な答だろうか。
ところが数日して、今度は全く違う場所、家の自転車置き場で同じような胡桃が転がっているのを見つけた。
はて、胡桃はこんなに人の社会のそこここに運ばれるものだったのかしらん。
もしかしたらこれは、、、胡桃大将の思惑か。足のない植物らは、人の知らぬ間に少しずつ世界を我が物とするため、胡桃爆弾を仕掛け始めたのではないか!?
確か梶井基次郎の小説には、丸善に檸檬を据えつけた人がいたが。。。
この胡桃爆弾、これまで気づかなかっただけで、これからも静かに世の中を侵食していく気がしてならない。。。
私は、胡桃を広瀬川沿いの雑木林に運ぶことにした。胡桃大将の思惑に思いを馳せながら、その片棒を担いだ気になって。
日常に潜む秘密はいつもすぐ隣。。。
プレリュードは今宵も、秘密の隣であなた様のご来店をお待ちしています。
(G)